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「じゃあ俺を元居た世界に帰してくれ」
「あぁ、無理です」
「無理……」
「無理です。だって貴方『証』を壊したじゃないですか」
「……はい、すいません」
壊した原因は俺だけど、壊した本人はそこに転がっているハゲです。
「契約神具を直せる話などこれまで聞いたこともありません。壊されたという話すらも無いくらいに。貴方は唯一帰れる手段を無くしました」
「えっ!?直せないの!?」
「世界は広いですしもしかしたらどこかに直せる人は居るかもしれませんけど……。そもそも契約神具は神話時代から残る失われたオーパーツなんですよ」
「なんて物を君は俺に使ってしまったんだ……」
なんでユキの困り事でポンと呼び出されて帰れなくなってんだよ……。
「ん……?君がその契約神具を使ったんだよね?なんでその契約神具が俺の手に渡ったんだ?」
「よく知らないで使ったんですけどわたくしが契約して力を使ったら手元から契約神具が消えちゃって……。それからすぐにあなたが光と共に現れました。その時には既にミドリ様の手に渡っていたという事ですね」
多分俺が拾ったからなんだろうけど……。
「ミドリ様は辞めてくれ……、俺でさえ課長や社長でも様なんか付けない……」
「注文が多いですね……。ではミドリさんと」
異界の扉開くとかザーファリアとか絶対地球ですらねーよ……。
異世界みたいなとこに来ちゃったよ……。
「言語とかなんで通じるんだ……?」
「そういえばそうですね……。ファリア語を理解しているとは到底思えませんし……」
実際知らないし。
「もしかしたら契約神具とミドリさんは繋がっているからなのではないでしょうか」
「繋がる?」
「はい。『証』の伝説には勇者の手の甲には『証』の紋章が浮かんでいたと伝えられています。しかも最強の勇者の証らしいです!ミドリさんにも紋章があるのでは?」
「え?マジ?」
確かに左手の甲に絵馬に浮かんでいた紋章と同じ形の痣が出来ていた。
「なるほど。確かにその痣からは魔力を感じます」
「魔力感じちゃったよ」
「言語の壁を繋げているのかもしれませんね」
その魔力が俺に回って変換とかされてる感じ?
便利ー。
英語とか韓国語とか勉強してた俺ら馬鹿らしいな。
「そっか帰れないのか……」
両親にはそろそろ自立しろよとずっと小言を言われ続けていたよな。
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