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ある意味、それも運命
この交差点にはウワサがある。
いわゆる都市伝説である。つい最近になって、ささやかれるようになった。
この交差点で数字を一から十まで数えると、運命の人がやってくるーーというのである。
どこの町にもあるような普通の交差点で、各所に横断歩道と信号がある。交通量は比較的多い。大通りなので、歩道と車道にわかれており、そこそこ歩行者も多い。
この交差点の一画に、舞友は立っている。
学校からの帰り道なので、まだ制服だ。
ほんとは今すぐ走って帰りたいのだが、そうもいかない。
「いいね? 舞友。ちゃんと数えないと許さないからね」
さっき、美歌に念を押された。
ふりかえると、少し離れたコンビニの前に、美歌や優璃たちが四、五人かたまって、こっちを見ていた。
美歌たちは中学の友達だ。いや、友達だった、というべきか?
美歌の好きな男の子が、舞友のことを好きだとわかったときから、舞友はグループのなかで特殊な立ち位置になった。
最初はちょっとイヤミを言われるだけだった。
「いいねぇ。舞友は可愛いもんねぇ」とか。
でも、美人なのは誰が見ても美歌だ。
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