ある意味、それも運命

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自分の好きな人が自分より劣る舞友を好きだという事実が、美歌の自尊心を傷つけたのだろう。 「ごめんね、美歌。でも、あたし、杉本くんのことはなんとも思ってないよ」と言ったのが、よけいにシャクにさわったらしい。 次の日から舞友の体操服や靴が紛失するようになった。雨の日の校庭のすみに落ちていたり、男子トイレの前に落ちていたり……。 LINEもいつのまにか、舞友以外のメンバーで新しいグループが組まれていた。舞友のいる元のグループでは今までどおりの会話がかわされているが、舞友をはぶいたグループでは、舞友の悪口ばかりが書きこまれている。 その内容は優璃から見せてもらったが、生まれてからこれまで、こんなにヒドイ言葉を受けたことはないというほど、悔しく腹立たしい言葉で埋められていた。 今ではハッキリ、イジメの対象だ。 でも、表面上はまだ友達のふりを続けている。そこが、ややこしい。たぶん、クラスのほかの子は、舞友が仲間内からイジメられていることも知らないだろう。 学校へ行くのが苦痛でしょうがない。 早くこんなところから逃げだしたかった。 でも、卒業までには、まだ一年半もある。 そんなときに、美歌が例のウワサを聞きつけてきた。 この交差点で十数えたら、運命の人がやってくるーー     
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