26.万物は陰を負い、陽を抱く!

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行人が 帰りが遅いのには、先輩が帰らないから、帰れないと言うこともあるのだが、 急ぎ研究を終わらせたいと思っているからだ。 彼自身も、いつまでも杉山くんに 佐藤家を任せておくわけにはいかないと 理解している。 杉山くんが、専門学校に行っている3年の間は確実に佐藤家を見てもらえるが、杉山くんが柔道整復師の資格を取り、その後彼がどうするのかと言うことを考えると、この研究を3年間で終わらせることがベストなのである。 その行人の心情を、森慎也は知ってか、知らずか、急ピッチでalphaのDNAサンプルを集めていた。 しかし、次はomegaのDNA…、ある程度は 千尋に頼めば集まるだろうが、国内だけの量では限りがある。 早く、研究を終わらせるためには…… 「 はぁ… 」 行人も、森慎也が、自分に対して意地悪で言っている訳ではないと分かっている。 しかし、伴侶はとても可愛いし、息子の成長も見たいし… 彼の頭の中は、 (海外に行きたくない!) (でも、早く研究を終わらせたい!!) と言う葛藤で、いっぱいであった。 ーーーーーーーーーー pm21:45 「 ただいま、戻りました 」 行人は、愛しい 秋と 晴が待つ 家に帰ってきた。 「ユキ、お帰り!」 お風呂に入り、サッパリとした姿の秋が、晴を抱っこして 行人を迎えてくれる。 行人は 「ぶっ!ぶっ!」と喃語を発する 晴を 秋から受け取り 抱っこをする。 「ん? ユキ、なんかあったか?」 秋は すぐに、行人の表情が暗いことに気づいて、心配そうに彼に声をかけた。 「 あ、あ… ご飯食べながら 話すね… 」 「う、うん…」
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