26.万物は陰を負い、陽を抱く!

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ーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーー 【 そして2年後 】 4月 桜の花びらが、春風に攫われ 空で光っている。 「こらー! ハル〜 危ない! 先に行かない!」 「だって、だって、あちちゃんあるくのおそいから…」 「もう〜 急に 車が飛び出してくるかも知らないから、ちゃんと手を繋ぐ!」 「はい、はい、あちちゃん、こわい…」 福岡の田舎町、田んぼ道を歩く二人の親子がいる。 それはもちろん、 安斎 秋と、よく喋る3歳の男の子 安斎 晴である。 「ナミちゃんは かわいいけど、おこると こわい。 アコちゃんは きのう ぼくのコップとってくれたぁー」と晴は 保育園の 出来事を秋に教えている。 「きょうは、たなかせんせい いるかな〜?」 「ハルは、田中先生好きなのか?」 「うん〜おむね、おぉきいからー!」 「お、 おう! それは重要だな!」 晴から、予想外の言葉が返ってきて 秋もタジタジのようである。 通り過ぎる人と挨拶をしたり、道端に咲いている花で止まったりしながら、10分程度歩き、近所の保育園に到着した。 「じゃあ、田中先生、よろしくお願いします! ハル、頑張れよ!」 今日は晴一押しの 田中先生がいらっしゃり、先生に挨拶をして、秋は晴に手を振った。 「あちちゃんもね! バイバイ〜!」 晴は キュッと 田中先生と手を繋ぐ、秋に手を振った。 ーーーーーーーーーー 秋は、急ぎ保育園から戻ると治療院の準備にかかる。 掃除をして、白衣を着てとやっていると… 「秋先生〜おはようございます〜!」 …患者さんがやってきた。 「はーい! おはようございます!」 ーーそう、 秋は 福岡の佐藤の家に戻ってきたのだ。 と、言うことは、行人の研究が、終わったことを意味している訳で。 行人は、森と共に、半年以上海外に渡り、omegaのDNAを集め回った。 (途中、行人が慣れてきたところで、森は日本に戻り、行人から送られるDNA解析にあたる。) それによりomegaのDNAについてもかなりの速さで回収、解析し、データーを揃えることができ、 alphaと、beta、omegaの DNAの部分の 違いを発見するに至った。 しかし、その結果は行人が当初 考えていたものとは異なるものであった。
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