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研究結果としては、
betaのDNAを基準とすると、
alphaのDNAでは一部、足りていない箇所があり、
逆に、omegaのDNAでは、その足りていない箇所が、倍にあると言うものであった。
その箇所の DNA自体が、どのような働きを担っているのかは、未だ研究中であるが、
おそらく、alphaの 『何か』足りない部分を補填できる 唯一のキーが 『omega』であることが、それにより証明された。
その研究結果は、世界に発表され、alphaの救世主がomegaあると解り、
『omega』を蔑む文化は 世界中で一気に減ることとなった。
ーーそして、そんな重要な研究の一翼を担っていた 行人は現在 何をしているかというと…
「うぅおぉ〜〜っ! 安斎先生ーっ!!」
行人にダイビングアタックして抱きついてくるのは、あの東先生だ!
「おっかえりなさぁーい!!」
「 東先生、く、苦しいです! 」
「いいじゃないですかー!3年越しの抱擁なんですよー!」
東先生は御構い無しに 行人をギューギューと抱きしめている。
「安斎くん、おかえり!」と永嶋先生。
「救世主…安斎先生、おかえり…」と魔女井上先生。
「待ったったばい!」と藤吉科長。
「おかえり、また宜しく!」と高島先生。
「お久しぶりですーおかえりなさい!」と行人が3年前辞めるのと入れ替わるように入ってきた小林先生。
そう彼は、再び鍼灸の専門学校へ戻ってきたのだ。
もちろん、あの時のメンバーは残っていると思っていたら、宮崎訛りのメンバーが、1人足りなくて、行人はすぐに東先生に聞く。
「 あれ? 原田先生は? 」
それを聞くと、 東先生は「ふふふ…」と笑い左手の薬指に光る物をチラチラと見せてくれた。
「 おっ、結婚したんですね! 」
「いろいろあったけどね、また飲みながら話しますよっ!」
(やっとゴールインしたか〜)と心の中で安堵しながら、ニッコニコの東先生に、行人はもう一つ聞きたいことがあった。
「 あのー東先生! 警察にお知り合いいます? 」
それを聞いた途端、はしゃいでいた東先生の体は完全にフリーズした。
「……あ、あ、安斎先生、なんでそれを?」
「 警視庁にお世話になったことがあって、警視総監と、SITの隊員に “東さん” と言う人がいて、先生にとても似てたんで 親戚か なにかかと思って… 」
東先生は急にポケットからハンカチを取り出すと額の汗を拭った。
「……いや、あの それ…俺の親父と、兄貴だと思います…」
「 えぇ! マジですかっ!? 」
アズマックスの答えに、三種のDNA研究の結果出た時よりも、驚きの声が 行人から上がった。
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