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俺は、ひなたのお父様が好きな、『マスクメロン(桐箱入り)』のを購入し、1人で ひなたの実家へと向かう。
家の近くにやってくると、緊張で喉はカラカラ、口の中の渇きも半端なくなってきた。
ちょっとここで、ひなたに電話。
プルル……プルル……
『しもしも〜?』
「ひなた? 俺だけど、家の近くまで来たんだけど、入り口どのあたり?」
『スギさん、今から迎えに行きます! 近くに何が見えますか?』
「公園の桜の木だけど……」
『承知しました! 待ってて下さい!』
「うん、分かった。」
大きなため息を吐きながら、公園の入り口に設置してある逆Uの字の黄色の鉄の棒に腰をおろす。
そしてハラハラと舞い落ちる薄紅の桜の花びら眺めた。
なんだか、ふっと心が落ち着く気がした。
数分後、ひなたが手を振って、ダッシュでやってくる。
「うぉぉーい、スギさーん!!」
しかも結構早い。
それと、ひなただけでは無かった。
「杉山さーん!!」
安斎先生の長男、高1の晴くんも一緒だった。
「はっ、はっ、はっ……お待たせしました! じゃっ、行きましょ!!」
ひなたは息を切らせてそう言った。
「杉山さん、お久しぶりです!」
晴くんは、全然息を切らせてはいない。身長も大きく、安斎先生同様爽やかな男子だった。
「おっ、晴くん久しぶり! お父さんに付いてこっちに来てたんだ。」
「はい!」
実は、安斎先生には今日挨拶に行くと報告していた。
そしたら、
『 援護射撃に行ってやるよ 』
と男前に言ってくれて、俺の応援に遥々福岡からやってきてくれたのだ。
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