杉山くん37歳の春

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ヴィーナスこと、ひなたのお父さんの誘導を受けながら、俺は家内を歩く。 ヴィーナスの髪はウェーブのかかった栗色で、歩くたびに髪が揺れて、後ろ姿も綺麗だった。 ……ん? なんだ? ヴィーナスに気を取られていて、あまり気がつかなかったが、家の奥に近づくたびに、身体にチクチクとあたる何かに俺は気がついた。 空気が揺れているようだ。 俺は上腕を摩った。 するとヴィーナスは、襖が閉ざされている部屋の前で止まる。その襖の前には安斎先生があぐらをかいて、スマホを片手で操っている。 「 おっ、 来たな、杉山! 」 「チュッス! 安斎先生、お久しぶりっす! 今日は宜しくお願いします!」 安斎先生はゆっくりと立ち上がった。 長身で足も長く、相変わらずの色男だ。 「 よし、じゃあ一緒に入ろう。 千尋さん、そしたらお茶の準備とかお願い。 」 「はーい、了解〜」 ヴィーナスは、オッケーマークを安斎先生へ送ると、スタスタ どこかへ行ってしまう。 「えっ、お父様にお茶とか用意させていいんすか?」 俺の質問に、安斎先生は眉を上げて「?」を表情をする。 そして、 「 大丈夫だぞ。 そしたら恭介さんに挨拶に行くか! 」 と、言われた。
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