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ヴィーナスこと、ひなたのお父さんの誘導を受けながら、俺は家内を歩く。
ヴィーナスの髪はウェーブのかかった栗色で、歩くたびに髪が揺れて、後ろ姿も綺麗だった。
……ん? なんだ?
ヴィーナスに気を取られていて、あまり気がつかなかったが、家の奥に近づくたびに、身体にチクチクとあたる何かに俺は気がついた。
空気が揺れているようだ。
俺は上腕を摩った。
するとヴィーナスは、襖が閉ざされている部屋の前で止まる。その襖の前には安斎先生があぐらをかいて、スマホを片手で操っている。
「 おっ、 来たな、杉山! 」
「チュッス! 安斎先生、お久しぶりっす! 今日は宜しくお願いします!」
安斎先生はゆっくりと立ち上がった。
長身で足も長く、相変わらずの色男だ。
「 よし、じゃあ一緒に入ろう。 千尋さん、そしたらお茶の準備とかお願い。 」
「はーい、了解〜」
ヴィーナスは、オッケーマークを安斎先生へ送ると、スタスタ どこかへ行ってしまう。
「えっ、お父様にお茶とか用意させていいんすか?」
俺の質問に、安斎先生は眉を上げて「?」を表情をする。
そして、
「 大丈夫だぞ。 そしたら恭介さんに挨拶に行くか! 」
と、言われた。
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