586人が本棚に入れています
本棚に追加
……キョウスケさん?
「 お前なに、たるんだ顔してんだ。 そんな気を緩めた状態で、この部屋に入ったら死ぬぞ。 」
「えっ、えっ、あの…キョウスケさんって……」
「 ん? 俺たちの、父親だよ。 」
「えっ、あ、あのさっきのヴィーナスがお父様では?」
俺の質問で「!」と安斎先生は気づいた表情になった。
「 おい、ひなた…… 」
「うぇい?」
志村けんみたいな変な声で返事をするひなた。
「 うぇい?じゃないだろ。 お前なぁ、ちゃんと杉山に両親の説明しとけよ。 」
「す、すいもはん!」
ひなたは、頭を下げて後頭部をボリボリ掻いている。
「安斎先生、ど、どう言うことですか?」
俺は、ビリビリと空気の波動を感じながら、冷や汗がたらりと流れだす。
「 杉山、俺らの両親はalphaとomegaなんだ。 さっきのポワポワしてる方は、omegaの父で、今から会うのは…… 」
「……!!」
アルファの方だー!
俺の “全て分かった!” と言う表情を見て安斎先生は、瞳を閉じて大きく頷いた。
「 いいか、杉山、一瞬たりとも気を緩めるんじゃないぞ。 俺と晴で援護してやるから。 恭介さんに言わなきゃいけないこと、ちゃんと言うんだそ。 」
「…………は、はい…」
この襖を開けたら、俺は、死ぬような気がした。
最初のコメントを投稿しよう!