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さっきまで緊張が緩んでいたため、その反動で、心臓がバクバク破裂するんじゃないかってくらい動き出し、身体が生命の危険を感じている。
手も冷たくなって震え出した。
「…ス、スギさん……」
すると、いつもふざけてばかりのひなたが、本当に心配そうに眉を下げて俺を見つめていた。
「ひ、ひなた……」
ひなたは俺の震える手を握りしめた。
彼女が握ってくれても、手は震えている。
逃げ出したい気持ちが、湧いてくる。
……でも、
いつもふざけてて、豪快で、楽しくて、一緒にいて飽きない。
こんな女性は一生出てこない。
「ひなた、俺、戦ってくる。 死ぬかもしれないけど、ひなたの為に死ねるなら、本望だよ!」
「……スギさん!!」
ひなたの瞳には涙が潤んでいた。
「 覚悟は、決まったな。 じゃあ、開けるぞ。 」
「はい!」
俺は顔を両手でパンパンと、叩いた。
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