杉山くん37歳の春

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さっきまで緊張が緩んでいたため、その反動で、心臓がバクバク破裂するんじゃないかってくらい動き出し、身体が生命の危険を感じている。 手も冷たくなって震え出した。 「…ス、スギさん……」 すると、いつもふざけてばかりのひなたが、本当に心配そうに眉を下げて俺を見つめていた。 「ひ、ひなた……」 ひなたは俺の震える手を握りしめた。 彼女が握ってくれても、手は震えている。 逃げ出したい気持ちが、湧いてくる。 ……でも、 いつもふざけてて、豪快で、楽しくて、一緒にいて飽きない。 こんな女性(ひと)は一生出てこない。 「ひなた、俺、戦ってくる。 死ぬかもしれないけど、ひなたの為に死ねるなら、本望だよ!」 「……スギさん!!」 ひなたの瞳には涙が潤んでいた。 「  覚悟は、決まったな。 じゃあ、開けるぞ。 」 「はい!」 俺は顔を両手でパンパンと、叩いた。
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