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安斎先生が、ゆっくりと襖を開く。
開いた先には、1人の角刈りの漢がいた。
俺を、虎のように鋭い瞳で睨んでいた。
空気が痛くて、重い。
息も吸いづらい。
もうめっちゃ怖い。
脚が動かない……
「杉山さん、頑張って下さい!」
晴くんも背後から俺を応援してくれる。
高1の童貞の子にカッコ悪いところは見せられない!
俺は歯を食いしばり、一歩一歩突風の中を歩くように進んだ。
そしてお父様の前までたどり着いた。
「は、じめま、して、す、すぎ やま しゅんたです……」
「 初めまして、安斎恭介です。ひなたの父です 」
声、ひくっ!!
見た目、もろゴクドーじゃん!
「 座りたまえ 」
「は、はい……」
お父様が、言葉を発するたびに、空気の針がめちゃくちゃ刺さる。
吐きそうなくらい辛い。
俺は、座った。
ブルブル震えながら座った。
下半身から、いろんなものが漏れてるんじゃないかと思えるくらい感覚が分からなくなっている。
そして、座った後からは、記憶がほぼない……
「 お、おい、杉山!! 」
「杉山さん!」
「スギさん!!」
なんでって?
俺は意識を失ったから。
かっこよく終わりたかったなぁ〜
end.
PS:
ちょっとからかってやろうと怒りの波動を出していた、おじいちゃん。
でもひなたお姉ちゃんの成長を思い返していたら、本当に怒りが爆発してしまったようです。
おじいちゃんは、反省していました。
杉山さんは、数時間後目が覚めて、落ち着いた後、恭介おじいちゃんに、しっかり『娘さんを下さい。』と言えました。
だから僕らの家族は、また1人増えました。妹弟のお守りで福岡にいたアキちゃんは、とても喜んでいました。
by安斎晴
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