森さんは、心配屋さん

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7月上旬 日曜 am9:00 ーープルルル、プルルル…… 『はい、もしもし〜ぼくです〜』 「ーーおや、こんにちは。」 『あっ、もりのおじちゃん?』 「ーーはい、正解です。」 森慎也は、安斎行人より お中元が送られてきたため、安斎秋の携帯に電話をかけたのだ。 しかし、電話に出たのは秋では無く、息子の晴(7歳)であった。 電話口から「チュンチュン」とスズメが無く声が聞こえており、森は、晴が外にいることが分かった。 「ーー晴くん、秋さんはどうしたのかな? 近くにいますか?」 『うん、いるよ! でもね、いまね、くさをきってるから!』 「ーーそうなんですね。晴くんも、ちゃんと手伝っていますか?」 『ううん、あぶないからね、ちかづかないようにいわれた〜』 「ーーん?」 耳を済ませると、電話口から『ウーン!ウーン!キュルキュル……』と機械が動いている音もした。 何かおかしいなと思う慎也。 以前福岡の安斎家(旧佐藤家)に行った時、機械を使って草を刈るほど雑草が生えている場所はなかったからだ。 不思議に思っていると、機械音が消えて、 『コラー! ハルー! 電話で遊ばないー!』と秋の声が聞こえてきた。 『ちがうもんー! もりのおじちゃんからの、でんわだもん!』 『えっ!? 森さん?』 ガタガタガタと、雑音が聞こえて 『森さん、すいません!』と通話者が晴から秋へと変わった。
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