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秋の慌てた声を聞きながら、慎也は微笑むと、お礼を述べた。
「ーーお中元、無事にこちらに届きましたよ。いつもありがとうございます。」
『いえ、いつも大したもの贈れなくて、すいません!』
秋が送ったのは、“福岡のお菓子盛り沢山”である。 森慎也1人では食べきれないので、いつも研究員に分けて喜ばれている。
「ーーいえいえ、お気にかけて貰えているだけで十分ですよ。」
そう言いながら慎也は気になったことを秋に質問する。
「ーー機械を使って草刈りですか?」
『あっ、はい! 近所の人に頼まれて、毎年の恒例行事です!』
「ーーえっ? 近所の人に頼まれて?」
『はい、膝が悪いおばあちゃんが近所にいて、その方の畑の草刈りを……』
「ーー!!」
それを聞いた途端、慎也は息を止めるのと同時に言葉も止まった。
ーーな、なんと?
森家の者に対して、草刈りをやらせる?
使用人がやるようなことを、秋くんに?
季節は、夏ですよ!倒れでもしたら!
それにしても、あのヘラヘラした男の声が全然聞こえない!
も、もしや、草刈りを秋くん1人でやっているのでは!?
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