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しばらく笑ったリョウくんはいつものリョウくんだ。
「怒ってないよ」
と言うと、フーッと大きく息を吐いた。
歩道の横にある花壇に腰を下ろしたリョウくんの目線は
少し低く向かい合わせになった。
いつもは私が見上げているのに、その反対の目線にドキドキしてる私。
ん?
と首を傾げてみた。
「もー、みな実のそう言うのダメだ!
俺ね、今日はちょっと優に嫉妬した。
自分の気持ちに気付いたよ。
みな実のこと好きだ」
"みな実のこと好きだ"
リョウくんの言葉を心の中で噛み締めて胸が一杯になった。
でも私はリョウくんより前に自分の気持ちに気付いてたよ。
リョウくんがそんな風に思ってくれていた事が嬉しくて瞬きしたら溢れ落ちそうな涙を一生懸命我慢したけど無理だった。
「ごめん 急に驚くよな。
ちょっと考えてみてくれる余地はあるかな?
俺と付き合ってほしい。
返事は急がないから。考えてみてよ」
花壇から立とうとするリョウくんを止めるように私は声を出した。
「あ、あのね、私もね、リョウくんが好き」
リョウくんも驚いた顔で私と視線を合わせた。
「ほんと?」
「うん」
「ヤッター!」
と言いながらこぶしを作ったリョウくん。
花壇に座ったまま大きく手を広げたリョウくんに
一歩だけ近づくと私の両腕を持って花壇から立ち上がってリョウくんの顔が近づいてきた。
チュッ。
触れるだけのキスをした。
それから暫く花壇に座って話して家まで送ってもらった。
「じゃあ明日!」
と言うと
「うん。」
と言ってニコリと笑って手をあげた。
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