桜の思い出

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長い並木を抜けた所で駅のロータリーに出てきた。 いつもと変わらない人の往来 改札を通ってホームに入ってきたいつもと同じ時間の電車に乗った。 いつもと同じ車両に乗ると、窓から入ってくる陽射しでダークブラウンに染まったさらさらした髪の毛が見える。私はその人の隣に立ち、 「おはようございます」 と小さな声で挨拶をした。 「おはよう」 読んでいた本に栞をはさみパタンと本を閉じた。 私が乗車してから暫く、何かを話すわけでもないので読んでいてくれてもいいのだけれど、いつも閉じてしまう。 乗り換えの駅に着くと満員電車の人から私が流されないようにいつも私を先に降ろしてくれる。 そして後から降りてくると私の横に来て次に乗る電車のホームまで並んで歩く。 私が歩くリズムに合わせて。
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