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リョウと付き合い始めて2年が経とうとしたある日、いつものように私の家の前まで送ってくれた時、マンションの入り口から出て来た男の人に声を掛けられた。
「みな実!」
そう、兄だ。
「俊ちゃん来てくれたの?」
「久しぶりだね。近くまで来たからみな実の顔を見て帰ろうと思ってね」
繋いでいたリョウとの手を離した。
隠していた訳ではない。リョウと付き合い始めた時にきちんと話している。都合が合わずなかなかリョウと会わせられずにいた。
「あっ、本田 リョウくん」
「みな実の兄です。はじめまして。」
リョウは兄を上目遣いで見て首だけをチョンと下げて挨拶をした。
礼儀に厳しい兄、リョウのこの挨拶が気に入らなかったようだ。
「みな実、じゃあな。」
私の顔を見てから背中を向けてリョウは帰っていった。
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