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「ママから聞いたんだけど、赤ちゃんってね、生まれてくる時はちっちゃな手をギュッと握って生まれてくるんだって。
その両手には夢と運命の人の名前が握られててね、
この世に生まれてから握っていた掌をパッと開いてから 夢と運命の人を探しながら 色んな冒険をして生きていくんだって。
…私はきっと雄飛の名前を握って生まれて来たんだと思う」
「冒険に出てすぐに俺と出会って可愛い手で俺の指を握って…
そして また、たくさんの冒険をしに旅に出て、風で飛んだライラックの栞を…拾ってくれて…俺の所に現れた……」
お風呂で反響する雄飛の声が震えて言葉にならなくなった。
「雄飛、泣いてるの?」
「ん、……
今まで運命とか信じるタイプでもなかったけど…
みな実との出逢いは運命だよ……
みな実、俺を探してくれてありがとう」
私のもとに雄飛を。
雄飛のもとに私を。
ライラックが運んできてくれた。
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