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デスクでは あまり見せない笑顔で部長は雄飛の事を話し出した。
部長は雄飛が新入社員の時の上司だ。
時岡くんにはたくさんの経験をして欲しいと、当時自分の課から別部署に出したそうだ。
部長はずっと自分の側に置いて自分が教えて一緒に仕事をしたかったのだと。自分が持っている全てのノウハウを時岡くんに教えたいと思っていたと。
でもそれは、時岡くんの為にならないと、上から打診されてね と。
あの時は、時岡くんや岡野くん、仕事ができる人材がたくさん入社した年でね、
どちらを海外支社に送るか社も随分迷ったと思うよ。
結局違う支社で2人共海外勤務を命じられたんだけどね。
海外勤務を経てまた自分の課に呼び寄せたと教えてくれた。
「時岡くんは2年だった勤務を延長して海外勤務では大きな成果を上げて帰ってきたのご存知かな?」
雄飛からは聞いた事がなかった
そう言う自分の業績の事は人には言わない人だ。
首を振る私に
「時岡くんらしいね」と言う部長。
会社の業績にも関わるような事だった。
雄飛の成果だとは知らなかった。
「部長?もしかして私、とんでもない人とお付き合いしてるんでしょうか?
私なんかよりも、もっと素敵で時岡課長の力になれる女性がいるんじゃないでしょうか…
どこかのご令嬢とか…」
「時岡くんは櫻井さんを選んだんだよ。もっと胸を張って時岡くんを支えてやって。櫻井さんなら時岡くんの力になれるよ」
と優しい顔で私の目を見て頷いてくれた。
「支えるどころか、いつも私が支えて貰ってます」
と困り顔で言うと
そうは見えないけどね。でも それも君達らしいよと笑った。
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