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練習試合が組まれていたある日の事。
その試合でリョウはプレー中に怪我を負ってしまった。
足の速いリョウは一塁ベースを思い切り駆け抜けた時、相手の選手と交錯してしまい倒れた。
その時に足と手首を捻挫してしまった。
チームにとってリョウの怪我はとても不利だ。
その日は控えの選手が頑張ってくれたので何とか勝てた。
家まで一緒に帰って来てリョウの手足を見ると尋常じゃない腫れだ。
私はしつこく病院に行こうと言った。
「面倒臭い!明日になったらマシになるって!」
とイライラしだした。
なるべく波風を立てないように、病院の話は終わらせると、
「明日は日曜だし今夜は泊まって欲しい」
少し甘えた声。
リョウの言葉に一瞬だけ躊躇して返事ができなかった。
「俺がこんなになってんのに何で考えるわけ?
可愛くないヤツ!
こんな時ほど即答しろよ!バカじゃないの?」
容赦なく発せられる言葉に反論しようと
「だって…」
と言った瞬間に、手元にあった鍵が私に向かって飛んできた。
リョウの家に泊まる時は必ずそういう事になる。だからすぐに「うん」と言えないのだ。私にだって都合がある。今日は生理だ。
けどリョウはそんな事もお構いなしなのだ。
私はリョウとのセックス が好きではない。
私の気持ちを無視しているような強引なセックス。
体の準備ができていないままの挿入。
いつも痛い。
何度となく「みな実は不感症だ」と言われ自分でも
私はおかしいんだと思っていた。
嫌だとやんわり断っても私が悪いかのように、大きな怒鳴り声が飛んでくる。
その事が怖くて私はいつしか嫌だと言えなくなってしまった。
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