信じたくない

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「おばあちゃんのお誕生日をお祝いするから帰って来てね」 母から連絡があったので、私は祖母が大好きなお花を持って駅に向かっていた。 何となく遠回りしてリョウの家の前を通って駅に向かおうと思った。 リョウの部屋のベランダは通りから見える階だ。 朝なので電気が付いているかもわかりにくい。部屋にいるかどうかもわからないけどベランダを見上げた。眩しい太陽の光が目に入ってその目線を下げて足早に駅に向かおうと歩き出した。 その時 えっ!!?? 千紗先輩? あっ、リョウ… 嘘… 2人がマンションの玄関から出て来た。 久しぶりに見る千紗先輩は学生の時とは違って、髪の毛が長く伸びて綺麗にカールされていてタイトスカートからは綺麗な足がシュッと出て高いハイヒールを履いている。 どうして?リョウと? 私はすぐに2人の元に行けなかった。 駅とは反対の方向に歩いて行く2人を離れてブロック塀に隠れて見ていた。 上着のポケットに手を入れて歩いているリョウの腕に千紗先輩の手が絡んでいる。 心臓の鼓動がとても早く打って呼吸が苦しくなりそうだ。 私、何も悪い事してないのに何で私が隠れてるんだろ… リョウの彼女は私だ。 私と会うかもしれないこんな場所で2人で歩くなんて。しかも腕を組んで… ギュッと握った手は汗が滲む。 私は2人が角を曲がる事を確認してから駅に向かった。
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