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「気になる?」
「へっ?」
私の上ずった声にケラケラ岡野さんが笑う。
「櫻井は分かりやすいから好き」
「もー、揶揄わないで下さい!」
ごめんごめんと言いながら、さつきちゃんが岡野さんでは無く時岡課長に相談したい事があるのだと2人で会っている理由をサラッと教えてくれた。
「絶対に俺の悪口を言ってるな。
で、櫻井はどうなの?」
「へ?どうって?」
「最近、雄飛が誘っても飲みに来ないじゃん?なんで?」
「なんで?って…別に…」
どう説明しろと言うのか。
「ね、そろそろ前に進みなよ」
先日の友人達と同じ事を言う岡野さん。
私の事を分かりやすいと言った岡野さんは今の私の気持ちを、もしかして知っているんじゃないかと思った。
「私ってそんなに分かりやすいですか?」
「うん!」
やっぱり…
即答する岡野さんに盛大にため息をついて
「絶対に言わないで下さいよ、絶対に変な気を回さないで下さいよ、絶対に2人の秘密ですよ!」
「ちょっとは俺を信用してよ」
なんて言いながらケタケタ笑う。
カウンター越しのマスターまで…
けど私の話をいつも真剣に聞いてくれる岡野さんだ。
「私、わからないんですよね」
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