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はじまり
次の日みんなが来る前に千紗先輩と5人のマネージャーと準備を始めていた。
この時間が楽しくて大好きな時間だ。
道具を運んだり、飲み物の準備、救急箱の確認、部員の着替えやタオルの準備、スパイクを揃えたりと、たくさんの準備が終わろうとする頃に部員がグラウンドに集まってくる。
いつものように皆んなの中心になって笑顔で歩いてくるリョウくんを見つけた。
私が見ている事に気付いたリョウくんは目で合図するようにニッと笑った。
それを見ていた恭子ちゃんが
「なになにー?」
と言って肩をバシッと叩いてきた。
皆んなが練習している間もマネージャーの仕事はたくさんある。
ボールを磨きながらグラウンドに目を向けると汗を流しながら声を出し練習しているたくさんの部員の中からリョウくんを直ぐに見つけられる。
周りのみんなより大きな声を出しているリョウくん。
皆んなに声をかけながら。
そんなリョウくんを目で追っていると
「みな実ちゃん手が止まってるよ!」
と千紗先輩に注意を受けた。
「みな実ちゃん、ちょっとコレお願いできる!」
トレーニング用具を別の場所に持って行く事を言われたり
「みな実ちゃんコレここじゃないよ。置く場所間違えてるよ!」
今日は何だか千紗先輩に良く注意を受ける日だ。
恭子ちゃんが
「気にしない気にしない!」と耳打ちしてくれた。
練習時間が終わって帰る頃にはグッタリ。
帰り際にリョウくんが
「一緒に帰ろ!送ってやるよ。」
と、皆んなの前で言った。
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