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祖母の家からの帰り、いつものように運転席から私の右手を取った。
その手の力がいつもより強い。
雄飛の横顔を見ると目に浮かぶ涙が見えた。
いつもより少ない言葉数。
だけど、いつも以上に心が通じ合っているような気がした。
家に着いて実家から持ち帰ったライラックの押し花を雄飛の部屋に飾ったライラックの押し花の横に並べてくれた。
「俺の所に来てくれてありがとう」
と、ゆらゆらと背中越しに私を包んだ。
「雄飛と私みたい」
2つ並んだライラックの押し花を触ろうとすると
私の手に雄飛の手が重なってその手が2つの押し花をなぞった。
私を包んでくれる雄飛から離れたくなくて、
「もう少しこのままでいてね」と言うと優しく髪にキスをして私の背中から回した腕の力が少しだけ強くなった。
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