第1章

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私の名前は近衛陽葵(このえひまり)8歳に成ったばかりだけど、私は人生に嫌気が指している。 「……あっ、お嬢様今日の舞台も最高でしたよ」 「お客様も大変満足だったよ」 先輩達に誉められるが影で何を言っているのかは分かる。 ほらっ、私が去ったらヒソヒソ声。 イライラする、私だって……私だってーっ。 「……はーっ、お嬢様が男なら良かったのに」 「だよな、お嬢様の才能には嫉妬するけど、しょせん女だからな」 ぐっと拳を握る、パタパタと踵を帰して。 私は大きく深呼吸して控え室に入る、控え室には私の母が着替えのために準備をしてくれている。 そうっ、私の一門は歌舞の名家何百年も前から続く歌舞役者の名門。 だけれど、女の子は歌舞伎には出られない。 私が出られるのは後数回だけ……。
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