第1章

4/9
前へ
/9ページ
次へ
「はーっ」 「大丈夫ね、いってらっしゃい」 背中をトンッと押される、気合いを入れて、気持ちを入れて。 舞台に向かう、私のラスト舞台に。 顔は真っ白で私の素顔は誰も知らない、だから私がこの名門の家の子供だとみんな知らない。 「お疲れ様です」 「お疲れ様、良かったよ」 お色直しをして最後の挨拶をして無事に今日も終わる。 そして、私の弟は私を無視しながら家に帰る。 「陽葵今日も良かった、それだというのに秋穂ーっお前は」 「ーっっ、ごめんなさいごめんなさい」 「貴方、陽葵ちゃんは部屋に連れていくわね」 ぎゅっと陽葵の手を引き部屋に向かう。 私は軽く内心溜め息を付く、又母の嘆きの時間が来るのだろう。 「ーっっ男の子に産んであげられなくって、ごめんなさいーっ」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加