第1章

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「ハーッ秋穂お前は何度言えば分かるんだ、こっちをこうして……陽葵お手本を見せてあげなさい」 「…はいっ」 オーデションを受けて家に帰るとお父様の怒鳴り声と弟の泣き声が聞こえてきて、慌てて稽古場を覗く。 呆気なく見つかり、ふわふわの服のまま正座をし頭を下げて中に足を踏み入れる。 「ーっなんだ、その格好は」 「失礼致します……服です」 稽古場に挨拶をしてからの稽古は当たり前なのだがお父様から挨拶をする前に声を掛けられる。 お父様は驚愕なさっていますね、私もお祖父様にこの服を貰った時にはちょっと仰天しましたからわかりますよ、その気持ち。 「ーっっハシタナイーっ着替えてきなさいーっ」 「はい」 私はくるっと稽古場を後にする、その間弟の顔が視界に入りびっくりです。
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