長男・春彦

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ハリウッドセレブみたいな彼女は、どこも出かけず、食事も部屋で摂り、朝から晩まで一日中部屋で過ごしていた。部屋はずっと静かで、生きているのか心配になるくらい。ワケありっぽいのは分かっていたから、食事を運ぶ仲居さんに、いつも生存確認をお願いしていた。 1週間ほど経った頃、突然 電話が鳴った。 「お電話有難う御座います、月島旅か…ーーー」 「つかぬ事をお伺いします!」 突然の大声だったので、鼓膜がキーンと震えるのを感じた。 「あの、お客さ…ーーー」 「篠宮という方はおりますか?篠宮華恋!」 ああ、何だかややこしいことに巻き込まれそうだと、直感的に思った。いつも仲居さんが電話を取るのに、何で今日に限って俺が取ったんだろう。 「個人情報になりますので、どなたがご宿泊されているかと言うのは、私からは何とも…」 「カードの決済情報では、そちらに居るはずなんですが…!」 ただそんな風に怒鳴られたって、こっちも信用あっての客商売。易々とお客様の事を話したりなんて出来ない。 「そうおっしゃいましても、お答え出来ません」 ピシャリとそう言うと、「では結構です!」と電話は切れた。 関わりたくは無かったけど、一応本人には伝えるべきだよなあ。 そう思い、俺は彼女の部屋に向かった。
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