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「それだけ、アイツと居たら楽しいって事だろ?」
確かに、彼女と居たら楽しい。表情がコロコロ変わって、わがままばかり言って。なんとかしてやろうと思ってしまう。
これが好きと言うことなのか?正直分からない。
どうせ結婚相手は決まってるんだからと、18の時から恋愛感情なんて殺している。
「結婚が嫌なら、親父にもお袋にも花純にも、そう言えよ」
「…言えるかよ、今更」
「俺なら、ブッ壊すけどな」
「ブッ壊すって…」
「兄貴は人の目を気にし過ぎなんだよ。疲れねえの?俺なら絶対ごめんだね」
確かに、俺は人の目を気にしている。でもそれは物事を円滑に進めるためだ。俺が我慢して済むことなら、その方が良い。その方が、みんな幸せだ。
そう、思っていた。
「好きなら好きで良いだろ。なんなら俺が言ってやろうか?」
ニヤリ、と上から目線で言われて、別に彼女を好きなわけではないけど、少し腹が立った。なので、反撃をすることにした。
「自分は好きな人に好きって言うのに時間かかったくせに、人のこと言うなよ」
「は、何言って…」
「お前、山田さんのことずっと好きだったろ?」
「は!?」
「小さい頃から追っかけ回して、一途だなって感心してた」
「なんで知っ…!」
「この前、客間で絡んでるのを見た時は、兄として嬉しかったよ」
みるみる顔が赤くなる弟。そうそう、お前はそうしてたら可愛いヤツなんだ。
「ま、アドバイスとして聞いておくよ。ありがとう」
そう言うと、「その顔の兄貴のが、やっぱイケてるよ」とはにかみながら言われた。
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