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「面白かったねー!」
「そうか?俺は趣味じゃなかったな」
映画の後、ファストフード店でハンバーガーを食べていた。冬真はいつも少し気怠そうにしていて、今日も頬杖をついてポテトを1本ずつ食べている。
「…何だよ。そんなに格好良いか?」
ジッ、と見てしまっていたからか、悪戯っぽい笑みを浮かべながら尋ねられた。
「…うーん、どうなんだろ」
ズルズルとコーラを啜ると、「汚ねえな」と嫌な顔をされた。「それでも女かよ」と罵られる。
「ね、私達、みんなに何て言われてるか知ってる?」
「あー、何となく」
「…どう思う?」
「どうって、」
少し困惑する冬真。少し考えてから、言った。
ーーーお前が望むなら、付き合ってやっても良いけど?
驚きすぎて、咥えていたポテトが、ポトリと落ちた。目をパチパチすると、ニヤリと微笑われる。
「冗談だよ、サル。本気にすんな」
「び、びっくりしたあ!やめてよ、そう言うの!」
「そもそも、お前が付き合いたいなんて思ってねーだろ、」
「そ、そうなんだけど…」
少し、心拍数が上がった気がした。顔も赤い気がする。何となく変な沈黙が続いて、気まずい。冬真も黙ってメロンソーダを飲んでいた。
なんだこれ。私が冬真を好きみたいじゃないか。
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