四男・冬真

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どうしようかと思っていると、向こうが沈黙を破った。 「じゃあ、試してみるか?」 「…何を…?」 「恋人っぽいこと」 「へっ?」 素っ頓狂な声を上げたら、冬真が私の頬に触れた。暖かくて、大きな手。すっぽりと、頬が温もりに包まれた。 そのままテーブル越しに引き寄せられて、グッと目を閉じる。 唇に、柔らかいものが触れた。 うわ、ヌルッとした! …でもアレ?思ったよりもパサパサ…? 恐る恐る目を開けると、必死で笑いを堪えていて。触れたのは、私の食べかけのハンバーガーだった。ケチャップが、たっぷりと唇に付着している。 「さ!最低ッ!」 そう言ってハンバーガーを奪い取ると、冬真は笑い転げた。 「面白ェ!素直すぎ!」 「ホンットに趣味悪い」 「今後 騙されねーように教えてやってんだろ?感謝しろよ、」 やっぱりコイツは私を面白がってるだけだ。好かれてるなんてあり得ない。 そして私も、好きになるなんて絶対無い。良い奴だと思うし、友達としては大好きだし、ずっと仲良くして欲しいけど。 恋人っぽい雰囲気になんかなれない。コイツは親友だ、と口についたケチャップを拭きながら再確認した。
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