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確かにその通りだ。けれど。
「だせえ」
ノリタケが言いたかったことを、ロイネちゃんが先に言って、けっと吐き捨てた。
「まあいいや、まずはあのひし形人間を全部やっつけないとな!」
ロイネちゃんはそういうと、ステッキを構えた。その隣で、金髪の少女もキッと目を吊り上げてひし形人間を見る。
「ロイネさん、異世界の人間は、あなたと同じく美少女と美少年を好みます」
「私と同じくって部分は要らないだろ!」
「わかりやすいかと思いまして。異世界の人間は、その趣味のために美少女と美少年を狙うのです」
「じゃあ、私はいちごちゃんとノリタケを守るために魔法少女やってりゃいいってわけだ!」
「そうは言ってませんけど」
金髪少女は不満そうに言ったが、ロイネちゃんは聞いているのかいないのか。ステッキを振り回しながら、ひし形人間に突っ込んだ。突然のことで驚いたのか、ひし形人間は皆ひるんだように少し後ずさる。
「ロイネちゃんキック! パンチ!」
魔法少女だと名乗っておきながら、ロイネちゃんはひし形人間の腹や顔に見事な蹴り、パンチを入れて行く。ひし形人間はみゅーみゅー鳴きながら、気を失ったのか倒れて行く。最後には、十体ほどいたひし形人間は皆同じ場所に折り重なり、ロイネちゃんはぱんぱんと両手をはたいた。
「よし、これでおしまい」
「信じられない、人格は最悪なのに、こんなに強いなんて……」
何もしなかった金髪少女は、自身のステッキを握りながら呆然としている。いちごちゃんがノリタケの隣で勢いよく立ちあがり、ロイネちゃんに抱きついた。
「ありがとう、ロイネちゃん! 一日で二度も助けてもらっちゃった!」
「いちごちゃんに抱きつかれている! ひぇええ! こんな幸せがあっていいのか……!」
「ロイネさん、まだです。きちんととどめを刺してください」
金髪少女が厳しく言った。ロイネがそうだったそうだったと、いちごちゃんから離れた。
「ちょっとだけ待ってね、いちごちゃん。よぅし」
ロイネちゃんはまたステッキを構えた。
「世の中はくそ、人生はくそ! 皆死ねっ!」
ロイネちゃんは怒鳴ってステッキを振った。その先からきらきらした緑色の光がはじけ出し、山積みのひし形人間に直撃した。瞬間、派手な音を立ててひし形人間は爆発した。
「きゃー、ロイネちゃんかっこいい!」
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