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(やばいやばい秒でバレた。こうなったら、もう1000枚ばら撒こう)
黒と紫のあの世界で、少女は焦りの表情を浮かべながらに、またカードの束をばら撒くと、冷や汗を流しながら宙に指を這わせた。
ルール追加
神が二人、ゲームに参加しました。
絶対に敵いません。逃げましょう。
向かい合えば確実にお終いです。
(まあこれもゲームルールの一つと考えれば、ナシじゃないか。……さて)
「配布が終わりました。ちなみに、もうすでに神にバレました。二人の神が実体を持って世界に干渉しています」
玉座の間に戻り報告すると、【めるめ】は気だるげな視線を少女に向けた。
そして。
「ねえ、あなたもゲームに参加しなさいよぉ」
そんなことを言い出した。
「私も?」
「そうよぉ」
少女の素っ頓狂な声に、【めるめ】は煩わし気に身を捩った。その際あらわになった胸元に、少女は一瞬、舐めるような視線を向けた。
「ジョーカーの一人になって頑張りなさいよ。下級悪魔とはいえ、それくらいの存在にはなるでしょぉ? ゲームに勝ったらちゃんと願いも叶えてあげるし」
「えマジですか?」
途端に少女の口調が崩れた。
這うような視線と同じ色を持った声だった。
「マジよぉ、叶えられる範囲なら、叶えてあげる」
「じゃ、じゃあ」
もはや少女はぎらぎらした欲望を隠そうともせずに、声に表情にそれを出して宣言した。
「私が勝利したら、【めるめ】様の膝に乗っけてもらって、【めるめ】様の×××××を×××××しながら、私に×××××してください」
「……………………。…………べつにいいけれど」
「分かりました失礼します行ってまいります」
なんとも形容しがたい表情を浮かべる【めるめ】に背を向け、少女はぎらついた表情を浮かべ速足で暗闇の中へ歩を進めた。
(――――きたきたきたきたきた! こんなチャンス、もう二度とない! それができたらもう死んでもいい! 絶好の好機が来た、千載一遇の機会だ。ああやばいもう堪らん。――必ず勝つ)
少女は懐から一枚のカードを抜き取ると、はしたなくも狂暴な笑みを浮かべながらに、いずこかへと消えた。
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