その本はあなたを待っている

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「黒ってさ、赤でも白でも青でも何でも他の色を包んじゃうじゃん?そんな感じの怪談なんだけどね。一人の女の子が図書館にある日、閉館ギリギリまでいたらしいの。その彼女がね、真っ黒な一冊の本を見つけたらしいの。それは背表紙にも表紙にもタイトルが書かれていない本……でもその表紙には手形の跡が綺麗に付いてたの。その手形に彼女は自分の手を合わせてみたの。そしたら……今、唾飲んだでしょ?やめとく?」 彼女が言う通りに私は唾を飲んでいた。しかしここでやめたら続きが気になって夜も眠れないってなるのが嫌なので続きを彼女たちに迫る。 「大丈夫。続けて」 「そっか。じゃ、続けるよ。彼女とその手は見事に合っていた。そして彼女は『この本と私は何か運命を感じる』と思ってその本を手にしたの。そしてページを開いてみると、急に頭に重い衝撃が走って目を閉じてしまったらしいの。先程まで微かに物音が聞こえてたのがその途端静まり返ったらしくて。そしてそのページを見ていくと真っ黒なページがたくさん。さらに取ったはずの本棚も黒一色の本だらけ。そして彼女は恐怖心のせいで急いで出口の扉へと行くんだけど、開かない。彼女は不意に周りを見るとその部屋をぎっしりと包み込むかのようにして黒い髪を垂れ流した黒いワンピースを着た裸足の人々が彼女に向けて迫ってきてあともう少しで届きそうっていうところで扉が開くの。この体験をする人は必ず本を見ると黒い染みが見えてしまう前兆があるとかないとかって言う話よ」 「あれ?由香、震えてるけど大丈夫?」     
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