その本はあなたを待っている

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友達の言う通りに椅子に座って机の上に肘を立てては自分の両手を掴みあって小刻みに震えているのだった。何か言わないとと思っても声が出ない。 「ただの怪談よ、怪談。……あっ、そうだ。本返さないと今日までだった」 「あっ、私も……由香、どうする?ここで待っててもいいけど……」 「わだじもいぐ」 ここで待っていたら怖いだけだしただ帰るのもそれまた怖い。少しでもいいから彼女たちと一緒にいたいと思って即答したら言葉が変になってしまった。彼女たちはそんな私の言葉を笑わなかった。そんな中で私の目に見えた変な現象に目を疑ってしまった。彼女たちが触れた本のページ部分が黒く染みているのを見てしまったからである。 私たちは教室を出て階段を降りて図書室へと入ろうとしたその時だった。スカートの中ポケットから振動が蠢く。私はスマホを取り出して画面を見た。
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