第三章 瓦解

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第三章 瓦解

開闢(かいびゃく) 1994年、フェニックスタクシーの業績は下降線をたどる一方だった。既に100億円を超えていた売上高は80億円台になっていた。フェニックスプロモーションは、一円たりとも売上を計上することなく、ただ経費の垂れ流しが続いた。それに対して、洋子は顧問税理士の赤池に相談した。「この会社をこのまま存続させれば、取り返しのつかない事態になります。先生の方から社長に進言していただけないでしょうか。」「笹岡さん、社長はそれでもいいとおっしゃっているから仕方ないですよ。私たちは、雇われの身なのだからそれに従うだけです。フェニックスプロモーションだってできて間もない会社なんだし5年は様子を見たらどうですか。あまり性急に結論を出さないほうがいいですよ。」     
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