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「はぁ、断ったよ」
「えぇ!」
「なっ、なんでそんなにお前が驚くんだよ」
「いっ、いやだって」
「好きなヤツがいるんだよ」
「あっ、そっ……そっか」
そういえば、そんな事を言っていた。
「なんで、お前は自分なんか……って思うんだよ」
「え?」
「俺はっ! ずっと……!」
「?」
何かを伝えたいけど、それを伝えるのは恥ずかしいのか涼太はそこで言葉に詰まった。
「あー! もうくそ! だっ、だから!俺は――」
投げやりで、ぶっきらぼう。少女漫画に出てくるようなロマンチックには程遠いかも知れないけど……彼は真っ赤な顔で言ってくれた。
「……」
あまりの迫力に「私に拒否権はない」と言っている様に思えてしまうほどだった。
でも、答えはずっと悩んでいた事が消えたと同時に決まった。
彼のとなりに立つ『条件』なんて、私が色々考えたところで意味はない。それを決めるのは、彼……。
しかし、彼を離すつもりはない。空を飛び続けて疲れた時にゆっくり出来る存在になりたい。
なんて、強引に繋がされた手の温もりを感じながら、夕空を見上げてそう心の中で誓ったのだった――。
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