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そこで困った涼太は私に頼み込んできた。
「まぁ、あんたがいないと困るのはチームだろうし」
私と涼太はあの日からほぼ毎日あの公園で遊んでいた。
『なぁ、俺たちのスポーツ少年団に来ねぇか?』
『……え?』
そんなある日。
脈絡もなければあまりに突然の提案に、私は思わずその場で固まり、せっかく続いていたラリーを止めてしまうほどに驚いた。
最初は「ゲームすら買えないほどの貧乏だから」と断っていたが、最終的に私はそのスポーツ少年団に無理やり連れて行かれた。
そして、そのスポーツ少年団は『バレーボール』だった。
しかし、返事を渋っていると、どこでその話を聞いたのか母は「私はあなたが友達と仲良く出来ているのがうれしい」と入る事を快諾してくれた。
私はそのありがたい言葉に後押しされる様にそのスポーツ少年団に入った。
「でも、女子も今度練習試合あんだろ?」
「まぁね」
頭の良さは……正直残念なところだが、それをカバーするほどの『運動神経の良さ』がある。
でも、男子と女子が同じ会場で試合をする事はあっても、同じコートで男子と女子がごちゃ混ぜで試合をする事はない。
しかし、春にあったバレーのクラス対抗の球技大会では男女ごちゃ混ぜで試合があった。
その時、私は涼太と同じチームになり、涼太の凄さを身をもって体感した。
『ああ、こいつは……私と次元が違う……』
何においてもブレない体幹の強さもあり、そもそも『身長』が高い。同級生たちよりも頭一個分高く、精神的に脆いところはあるが、なんだかんだでポジティブな思考の持ち主で、すぐに立ち直る。
それに何より『バレーボールが好き』で『負けたくない』という気持ちが全面的に出ている。
私にはそれが『異次元の強さ』に見えた――。
「その次は最後の公式戦かぁ」
伸びをしながら呟いた言葉に思わずドキッとしてしまった。
「どうした?」
「いっ、いや。なんでも」
涼太は多分、いわゆる『強豪校』と呼ばれる学校からたくさん声がかかるだろう。
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