彼のとなりに立つ条件

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「?? まぁ、いいや。お互い頑張ろうな!」 「えっ、ええ。もちろん」  曖昧にそう答えた――。  その公式戦で、私と涼太のチーム……というか学校ははお互い全国大会へと駒を進める事が出来た。  しかし、私は二回戦で敗退し、涼太は準優勝した。  大会の次の日、涼太の目が大泣きした代償で目が腫れて二重が一重になっている事に気がついてはいたが、何も言わずいつもと同じように接しようと気遣ったことをよく覚えている。  自分で分かっている客観的事実である『負けた』という事を他人に指摘されるのは、あまりいい気分はしないだろう……と頭で分かっていたからだ。  だって、自分がそう色々と励まされても……その事実は変わらないし、決して嬉しいとは思えない……。  そしてその後、私と涼太は同じ高校に進んだ――。  でも、同じ学校とはいっても私は進学科に涼太はスポーツ科に……とお互い全く違うクラスへと進んだ。  そしてもう一つ。私は『どこの部活動にも入部』しなかった。 「なんでバレー続けなかったの? 私、雑誌で何度か見たことあるよ?」 「……」  ――六月の中頃。  クラスの面々の顔も覚え、学校行事もそろそろ何かしら入ってくる時期の昼休み、突然私に話しかけて来た人間がいた。  お相手は『元バレー部主将』で同じクラスの女子だった。しかし、そんな彼女も高校でバレーをしていない。 「別に、高校は勉強に専念しようと思っただけ」 「ふーん」  まぁ、バレー部に入部しなかった事に関しては涼太も「えー、なんで入部しなかったんだよ」とふて腐れていた。  実際のところ、大会終了後。いくつか推薦がきていた。実はこの学校からも推薦をもらっていた。  しかし、自分の限界を自分で引いてしまっていた事に情けなくなり、バレーを続ける気力はないものの涼太とは離れたくないと思い、推薦を蹴飛ばし、この学校には『一般入試』を受け、入学した。 「まぁ、この学校は男子も女子も強豪だもんね」  そう、だから朝から晩まで嫌が応にもバレー漬けになるのは目に見えている。
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