彼のとなりに立つ条件

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彼のとなりに立つ条件

 たまに考えるコトがある。そういう時は大概、私は空を見上げる。今日ふと見上げた空には、一羽の鳥が飛んでいた。鳥の種類は分からない。  その鳥はどんどん空高く飛んでいき――。 「ハァ……」  疲れている訳ではない。ただ手を暖めようと手に吐いた息はとても『白い』。少しでも風が吹くととても寒い。 「……」  とても寒いが、早く家に帰りたい訳でもなかった。そこで目に映った『公園』に足を踏み入れた。  すれ違う人たちの手袋やマフラーといった服装の違いとその寒さから今が『冬』だと実感する。気がつけば、もう一年も終わる。  今の私は高校三年生だから、冬が終われば『高校を卒業』する。高校を卒業するということは『進路』を決めなければいけない。  いい進路が他にもあるのではないか……なんてここ最近は、何も具体的なコトが浮かんでいないのにそんな事すら思っている。 「……」  多分私は、知らないうちにさっきまで飛んでいた『鳥』の姿に『幼馴染』を重ねていたからそんなコトを考えてしまう。 「人と違う……か」  これから彼が行く『道』は普通の人は行きたくても行けない『道』だ。そこにから大きな一歩を踏み出し、私を置いて大きな『世界』という『空』へと羽ばたこうとしている。  そんな『彼』の隣に……私は立っていていいのだろうか……。  ここ最近……いや、彼との違いに気がついた時から私はその『隣に立つ条件』についてずっと悩んでいる――。 ◆  ◆  ◆ 「お前。いつもここにいるよな」  公園のベンチで、本を読んでいる私の頭上からそんな声が聞こえた。 「……」  最初は無視しようと思ったが、しつこくされるのも面倒に思い、仕方なく顔をあげた。
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