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十年前、まだ准教授だった若かりし神谷は、二十歳になったばかりの学生だった玲奈をよく誘った。
当時、神谷は親切で面倒見の良い容姿端麗な先輩研究者として学生の間でも人気があった。
玲奈自身もレポートや研究の相談によく乗ってくれた神谷に傾倒していた。
けれどそれはあくまで、指導者として慕ったのであって、特別な感情などなかった。
それなのにーー。
あの日、何も疑う事のなかった玲奈は神谷に言われるまま、招かれた自宅へと赴いた。
他学生も来ると思っていた神谷の自宅にはその日、玲奈しか来なかった。
案内された部屋はクイーンサイズのベッドが置据えられた部屋だった。
部屋に入りドアを閉められた瞬間、玲奈は全てを察したが、もう遅かった。
『先生、やめてください!』
『いやよいやよも何とかっていう言葉があるね。君にもそんな感覚を教えてあげようね 』
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