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ファットッキャットは精霊の類であり、その見た目は風船のように膨らんだ猫に酷似している。ふわふわと湖面に水草のように浮きながら主食とする魚類を捉え捕食する姿はとても愛らしく、食べた魚から魚油のみを抽出し貯蓄しておく生体を持ち、人類に蝋燭の蝋を与えた精霊として魔術師の間では広く知られている他、レスリーのように愛玩動物として飼育している魔術師も少なくはない。ファットキャットが毛玉を吐く際に共に吐き出す脂は不純物を取り除けば非常に美容効果の高い精油となり、それもあって女性魔術師達は特に好んでこれを飼育している傾向にある。
基本的には穏やかな性質で、人の言葉を理解もする賢く美しい精霊であるが、レオナルドが危惧したのは、精霊の性質による。精霊はこの世に数多く存在し、それぞれがティミと呼ばれる能力で、様々な恩恵を人間にもたらす。ファットキャットの場合はティミが“蝋”であり、これにより人間は夜に安定した明かりをもたらした。
だが精霊が神より授かった力は恩恵だけではない。全ての英霊はティミと対をなすディエティティスという力を持っている。
ティミが人間の為にあるとするならば、ディエティティスは人間を裁くためにある。
殆どの精霊は温厚な性格で、滅多に人間に対してディエティティスを奮うことはない。
だが一定の条件の下、精霊はディエティティスを発動させ凶暴になる。
ファットキャットの場合はこれが“空腹”であり、生息する池や川が人間によって汚され、主食とする魚がいなくなるとファットキャットはディエティティスによって人を喰らう“暴食”を始める。
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