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本の内容は、最後に大きなどんでん返しのあるミステリーだった。綾乃は今日が休みで良かったと心底思いながら、先ほどまで読んでいた本の内容を噛み締めつつ、ゆっくりと深い眠りへとついていくのだった。
翌日。
綾乃は楓のことなどすっかり忘れていた。少し遅めの朝食と昼食をまとめて摂る。今日はどんな本を読もうかな。そんなことを考えながら食事をしていると、今日は新刊を買いに出かけようかな、と言う気分になった。
綾乃は食事を終えると、近所にある小さな書店へと向かう。
(大型書店もいいけど、小さな書店には掘り出し物があるんだよね)
綾乃はそんなことを思いながらワクワクする気持ちを押し殺すこともなく、書店の扉を開けるのだった。
店内は明るく、しかし小さな店内に所狭しと本が積み上げられている。
そこで綾乃はゆっくりと平積みされている本を見ていく。今日は歴史物の気分のようで、綾乃は歴史書物の所へと向かっていく。
(あ、この本ウチにもない……)
古い書物を見つけた綾乃は、それを手にするとレジへと向かった。
「あ、綾乃ちゃん。今日はこれにするのかい?」
レジに行くとニコニコと愛想良く店主の男性が声をかけてくれた。幼い頃から綾乃のことを知っているこの店主は、綾乃がカバーを必要としていないことも知っている。
「はいよ」
袋へと本を入れると、優しく微笑みながら商品を綾乃に渡してくれた。
「楽しんでおくれよ」
店主はそう言うと、綾乃を送り出してくれるのだった。
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