4-2.ちょっと我が侭を言ってみたくて

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 若い世代の貴族だからこそ、古いカビの生えた貴族と違うのだろう。己の権益優先で王室を操ろうとする連中を蛇蝎(だかつ)のごとく嫌い、真に誇り高い一族だった。それゆえか、奴隷の親を持つ()()()()()()()()()()()(めと)らず、今の伯爵夫人も他国の侯爵家から嫁いだと聞く。 「アスターリア伯ならば安心だ」  昨夜宿泊したスガロシア子爵家は大変だった。他にめぼしい貴族がいない地域だったため宿泊所として選んだが……仮にも子爵令嬢の肩書きを持つ未婚の女性が、胸元が大きく開いた薄いネグリジェ姿で飛び込んできたのだ。  薄い生地を重ねたネグリジェは下着と変わらぬほど身体の線が透けていた。その姿で国王の寝室に忍び込むなど、はしたないにも程がある。 「ああ……まあ、昨夜は大変だったな」  頬をかいて苦笑いするウィリアムは、昨夜の醜聞(しゅうぶん)を簡単そうに片付けた。
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