第一話 立ち切れ

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「薬というものはあくまで補助。本人に生きる気が無ければ効くものも効きません」 「あのあのあの」 「あなたはなぜ、そう懸命になられるのです。本人が選んだことではありませんか」 「だって、これではクー姐があんまりにかわいそうです」 「世にかわいそうな方はたくさんおります」 「でも、あの、だって……」  言葉は弱弱しくなりながら、それでもアラディアの裾をしっかりと掴んでいた。 「クー姐は、こんなわたしを救ってくれた人だから」  アラディアは裾を掴む指にため息をつく。 「お願いします。わたしにできることならなんでもしますから、どうか」 「なんでもなどと、軽々しく言ってはいけません」 「軽々しくなんて、わたし、本気です」 「ならば彼女のために死ねと言われれば死にますか」 「それは……」 「御覧なさい。余計なお世話などやめておくことです」 「死ねますっ」  声が部屋に響いて、それからしんと静かになった。  置屋の女将が喧しいと叱りに来ることもない。アラディアは細いパイプを取り出すと一服つける。あたりに香草のにおいがふわりと広がっていった。 「死ねると言われましたか」  座り直して、アラディアはラティを見た。 「それほどにおっしゃるのであれば、手立てが一つもない、ということもない」 「ほ、ほんとうですか」     
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