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看護婦が「はーい」と返事をして受付に行ってからしばらくすると、一人の20代後半くらいの女性が私の診察室へと通されてきた。
「こんにちは。初診の方ですよね?今日はどうされました?」
「あの。お医者さんにかかるような事ではないのかもしれないのですけど、最近ずっと違和感がありまして・・・」
「違和感ですか?どちらに?」
カルテに症状を書きながら、私が患者の方をチラリと流し見ると、患者はずっとソワソワとした雰囲気である。
「いえ、何かできものがあるとかではないんです・・・。なんて言ったらいいんでしょう・・・。既視感ってわかりますか?なにか前にもこんな事あったような気がする現象というのでしょうか・・・」
「ええ。わかりますよ」
「それが、ずっとしているんです!朝起きてからこちらの医務室に通されるまでずっと!」
女性は少しナーバスになっているのか、語気を荒げる。
その症状を見て、私の頭には精神疾患の可能性が浮かんだ。
一応、内科医なので専門外だが、独立する前は精神科医も受け持っていた私は、一つ芝居を打ってみた。
「それは、既視性二次疾患ですね」
「きしせい・・・」
「既視性二次疾患、別名、相乗デジャブ症候群。あなたのようにずっと前にもこんなことがあったような気がする、といった症状がずっと続くことです」
「私、やっぱり病気なんですか?」
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