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「ええ。ただ非常に簡単に治る病気でもあります。家に帰ったらこの薬を飲んでください。明日には治っているはずです」
私は自分のデスクから錠剤をいくつか取り出して彼女に手渡した。
もちろん、薬ではなくただのビタミン剤だが、精神疾患においてプラシーボ効果は非常に有効だ。
「ありがとうございます!」
「いえいえ、医者として当然のことですよ。それと、お代は結構ですので」
「え!?お金は払いますよ」
「良いんですよ。明日になっても症状が残るようならいらしてください。その時は診察料をいただきますから」
「・・・わかりました。なにもかもありがとうございます」
お大事に。そう言って私は患者を見送ると、しばらくした後、看護婦が医務室にひょこっと顔を出した。
「変わった患者さんでしたね・・・」
「そうだね」
「明日も来ますかね?」
「たぶん。来るんじゃないかな?」
冷めてしまったコーヒーに口を付け、私は彼女のカルテに症状を追記した。
願わくば今ので治ればいいが、きっとまた来てしまうだろうから。
それこそ、私が本当の特攻薬を見つけない限りはずっと。
そして、忘れてしまうんだ。
自分が今やうちの看護婦であるということに・・・
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