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 話を始めながら、猫は蜻蛉の長い三つ編みを掴み、その手を引く。蜻蛉は否応なく頭を反らせ、無防備な細い首筋に煌々としたナイフが添えられた。 「まずはね、感心したんだよ。あんたはものすごくマトモなんだ。ちょっとしか話してないけど、言葉遣いは丁寧だし、あんたのことを調べた犬は、その年できちんと自立した生活を送ってるって褒めてたよ。服装もちゃんとしてるし、良いにおいがする。変な意味じゃないぞ、シャンプーだかリンスだか使ってる洗剤だかは知らないけど、そういう良いにおい」  猫がナイフをついと動かす。蜻蛉の首から、耳の付け根へ。 「ホント、まったくもって清潔で、殺しなんて汚いことには不似合いだ」  耳を削がれる。  蜻蛉は反射的に硬直する。 「なあ、だからお終いにしよう」  直後、ナイフが動いた。 【6】了
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