第2章 リメレラードの書

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「そうだな~。この辺のモンスターはひととおり倒してるし、次は、隣都市のスチームパンクエリアかな」 リンは書棚ウィンドウを開いて、その中から、隣都市リメレラードに関する情報が記されている、"リメレラードの書”を検索し、開く。倒さなければならないモンスターのレベルは、マジックコールを既にマスターしたリンなら余裕で倒せるほど小さくレベルの低いのから、まるで都市の門番かというほどの難度の高いラスボス級のモンスターまでいる。 「ふふっ。リメレラのラスボスはなかなか強そうで、やりがいありそーう!!きゃはっ!!」  次のページを開いて、泊まれそうなセーブとロードと休憩が出来そうなホテルがないか読んでいると、部屋のドアを誰かがノックする音が。 「誰だろ・・・・・・?」 ぱたぱたと、うさ耳付きスリッパで玄関へ向かう。 「あ、もしかして!」 ドアののぞき穴から確認すると、リンの頬がゆるむ。 「やっぱりお兄ちゃんだ! わぁい!!」 がちゃ、と。ドアを開ける。 「リン、急にいなくなって、心配したんだからな」 くしゃくしゃと、妹のリンの頭を撫でて、苦笑しつつ抱き寄せる、兄・勇。 「えへへっ。ごめんなさい。でもね、もう、マジックコール、マスターしちゃった!」 「さすがは、俺の妹だな、リン」 「ねぇ、お兄ちゃん。次はマジック系の最上位職、マスクドマジシャンを目指すことにしたよ!」 「おっ、ゴッドマジシャンか~。あれって確か、2タイプあったよな。ホークテイマーと、マスクドメイジ」 「うーん。猛禽類は苦手だから、マスクドメイジかな」 「そっか。俺はホークテイマーもやったことあるけど、慣れればそんなにこわくないぞ、ホークは」 「そうなの? じゃあ、マスクドメイジマスターしたら、考えてみる」 リンはユウを部屋に入れると、飲食メニューウィンドウからお茶を検索し、キッチンに現れた、玄米茶入りのマグカップ2つを持って、兄のいるリビングへ持って行く。 「おっ。サンキューな」 「熱いから気をつけて。ちなみに、お兄ちゃんが好きな玄米茶だよ」 「ありがと、リン」 リンは開きっぱなしの書棚ウィンドウを閉じ、リメレラードの書を、テーブルの端に置いた。 それを見ていたらしく、兄のユウが聞いてくる。 「リン、次は隣の都市に行くのか?」 「そうだよ。この辺のモンスターはひととおり倒してて、退屈してたからさ」 「ほほう。なら、リメレラはおまえには刺激的なフィールドかもしれないな!」 「そうなの!? マジ、楽しみなんだけど!!」 「ははっ、リンは前向きだな、いつも。そういうとこ、良いと思うぞ、お兄ちゃんは!」 「ありがと! んで、お兄ちゃんのこれからの予定は?」 玄米茶を飲み終えると、天井を見上げながら腕を組むユウ。 「実は、まだ未定なんだ」 「そっか。ーー装備は?」 「まだ昔やってた頃のが、防護服とかアイテムも含めていっぱいあるから、それなりに戦えるし、暮らしていけると思うぞ」 「じゃあ、さ。一緒にリメレラ行こうよ!!」 「えっ!? 急だな、おい・・・・・・」 「リメレラ制覇してここに帰ったら、お兄ちゃんも一緒にこの部屋住んで良いしさ」 「俺もここに住むの!?」 「嫌ぁ?」 「べっ、別に嫌じゃないけどさ・・・・・・。む、むしろ、嬉しいぐらいだし、妹と同じ部屋に住めるって」 兄妹そろって、頬を林檎のように赤く染める。 「ち・な・み・にィ、下心とかはないよね?」 「あ、あったりまえだろ! 第一、俺ら、血の繋がった兄妹なんだぞ!? 当然、何もしねぇよ」 「だよね~。いや、ごめん、ごめん」 その後、ユウ曰く「夕食出来たって、母ちゃんが呼んでる」とのことで、一旦二人揃ってログアウトする。
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