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遡ること約1日前。
リンこと最上凛は、SNSの無料通話機能を媒介に朝の挨拶をした。
「おはよう、凛」
「おはよう、お兄ちゃん」
今日は久々に兄妹二人きりで出かける日だ。凛は今日が自分の誕生日であることをわかっているため、前夜からとても楽しみにしていたのである。
凛の最新機種のノートパソコンの画面右下の時計は、午前10時を過ぎていた。
「11時になったら玄関で待ち合わせってことで。あまり遅れんなよ、凛」
「わかってるって! 11時ね」
凛は充電済みの携帯からコードを放し、同じく充電満タンの充電器をコードから放し、机下の引き出し一段目から携行用コードを取り出し、携帯から外出時携行用コードを並べる。
次に、洋服を選ぶ。――といっても、外に着ていく服はだいたい決まっている。長袖の襟付きのシャツの上に蛍光色のパーカーを着、更にダッフルコートを羽織る。下はチョコレートブラウンとベージュのチェック柄の丈の長めのズボンを穿いている。
メイクは、ナチュラルメイク。
机の上の必需品三点をさらっと掬い上げるように持ち、それらをポシェットに仕舞い込む。
≪先に玄関で待ってるよ~≫
玄関に着いた凛がSNSのチャットで兄に伝える。
兄はすぐに階段を下りてきた。
「早いな、凛。忘れ物は無いか? 大丈夫か?」
「ないよ、兄ちゃん。早く行こっ」
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