2人が本棚に入れています
本棚に追加
家電量販店のゲームコーナーに入ると、凛はあるゲームソフトの前で立ち止まり、そのソフトを指さす。
「兄ちゃん、あたし、これやりたいなぁ」
隣にいる兄・勇が、黒のセルフレーム眼鏡の縁を上げて、ゲームソフトの文字列に顔を近づける。
数秒間、小声でソフトに書かれた説明書きを音読すると、凛のほうをちらと見た。
「俺、これやったことあるわ」
「マジで!? 超安心感! ますますやりたくなってきた!」
「凛ぐらいなら、適職は……マジックコールだな」
いまだかつて聴いたことのないジョブ名だけに、凛の好奇心ボルテージは最高潮に。
「マジックコール?! え、何それ。聴いたことないし多分やったことないやりたいやりたいやりたーいっ」
「ふっ、愛しの妹よ。遂に己の未知なる領域エックスへ繋がる扉を開くのだな?」
「お兄ちゃんの痛い厨二病語は良いから。あたし、これが良い」
「……少しは兄の遊戯に付き合ってくれてもいいのに」
レジで精算し、いざ持ち帰る。
勇と一緒にタクシーに乗り、自宅前で降りると、凛は運転手に礼を言って先に家の中へ入っていった。
机のキーボード前に例のソフトが入っている箱を置き、とりあえず説明書きをみる。
推奨環境が合っているか、キャラメイクはどこまでできるのか、初期ジョブの種類は……。
一通り確認が済めば、いざ、開封! 接続あるのみである。
中に入っていた説明書通りにソフトをインストール。
最初のコメントを投稿しよう!